カイゼン活動を組織横断で実施するためのValue Stream Mapping

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昨今DevOps界隈を中心に注目されているValue Stream Mappingについて、Amazonで評価の高い本を読んでみた。

 

Value Stream Mapping: How to Visualize Work and Align Leadership for Organizational Transformationという長い書名だが、ここでは略してValue Stream Mappingと書く。
著者はKaren Martinと、Mike Osterling。本書をはじめ複数の共著がある。
発売は2013年12月と2020年2月現在からみると6年ほど前であり、その他のValue Stream Mapping関連書籍も出ているが、Amazonでの人気が高いことから本書を選択した。

本書の概要

内容については6章と下記の通り、シンプルな構成をとっている。

1 Value Stream Management
2 Setting the Stage and Enabling Success
3 Understanding the Current State
4 Designing the Future State
5 Developing the Transformation Plan
6 Achieving and Sustaining Transformation

1章ではValue Stream Managementについて紹介している。Value Streamが複数の部門間をまたがるバリューの流れであること、Value StreamとKaizenの違い、その利益、失敗のパターンについて記述されている。失敗のパターンの一つとして最適な人材アサインがされないケースやメトリックが設定されないこと、プランだけ作ってアクションがされないこと、などがあげられているが、これは如何に経営レベルあるいは幹部レベルの認識と協力が重要であるかの裏返しであろう。

2章では全体の進め方について書かれている。基本的には4週間前の下準備、3日間のワークによる計画策定、計画の実行といったステップで進められる。この章ではCharterの作成や人材アサイン、スケジューリング、キックオフに向けて必要な準備について記述している。

3章から5章は3日間のワークショップで実行する内容についてドリルダウンしている。3章では現在の状態を知るためのActivity Kick Offの内容について細かく記述しているほか、プロセスについての分類も行っている。ここではプロセスを大きくValue-Add、Non Value-Addと分け、Non Value-AddをNecessaryとNon-Necessaryに分類している。ここで気が利いていると思ったのはNecessary Non Value-Add ProcessをValue Enablerと呼んでいる点だ。Non Value-Add Processに対して一定の評価を与えるというのは欠けてしまいがちな視点と言えよう。4章ではこれを受けてFuture State、将来の望ましい状態について描き、5章ではTransformation Planをいかに実行しやすく、測定しやすいものに作っていくかという点が強調されている。

6章ではTransformation Planを実行するうえで、社内においてValue Stream Mapを活用したコミュニケーションを実施することや最初のCharterにおいて設定したExecutivesとのReviewなどをしっかり実施し、組織としてこれを継続的に実践するための要点が記述されている。

感想

KPTやDesign Thinking Workshopなどフレームワークを覚えて少数の人数で実施してもある程度の効果が見込めるものはいろいろあるし、書籍も主にそのフレームワークの活用方法を解説しているものは多い。が、本書に関してはコンサルティング会社がその知見をもとに書いているという背景からか、組織の中で如何にして活動を継続していくかという点にも言及している。
大きな組織におけるサイロに悩まされている人にとっては一読の価値がある。

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